Processing relative clauses varying on syntactic and semantic dimensions: an analysis with event-related potentials
Mecklinger, A., Schriefers, H., Steinhauer, K., & Friederici, A. D.
Memory & Cognition, 1995, 23, 477-494.


ドイツ語関係詞節の統語解析が意味情報にどのように影響されるのかを検討するために,事象関連電位が利用された.被験者は主格/目的格関係詞節のいずれかを含む適切な形式の文を読み,それらの文中の主題役割を含む質問に回答した.(刺激)文の半数は,意味的整合性に基づいて主格/目的格関係詞への読みバイアスをかける過去分詞を含んだ;残りの半数は,どちらか(の文構造へ)の読みを選好するような意味的情報を提供しない過去分詞を含んだ.過去分詞はN400成分を生じ,意味的バイアスのあるものよりも基準のもののほうが振幅が大きかったが,これは主格関係詞節の場合でのみ生起した.質問への回答の反応時間に基づいて理解の速度によるグループ分けをしたとき,被験者の下位グルークでより特異的な効果が得られた.全般的に読み理解の速い被験者は,意味的バイアスのある過去分詞文よりも基準の文でN400の大きな振幅が認められ,主格関係詞の読みとは相反して目的格関係詞の読みのバイアスがあるときに過去分詞でのN400が増幅した.文終末部の助動詞を必要とする統語的曖昧性の解消は,この下位グループ内では主格関係詞よりも目的格関係詞への読みに必要な助動詞でより振幅が大きくなる陽性成分(P345)と結びついたものだった.後者の成分は先行提示された過去分詞により与えられる意味的バイアスとは独立なものであった.言語理解のモデルへのこれらの知見のもつ含意が考察された.


relative clause=関係詞節,関係節(※どちらの用語もあり)