Constraint satisfaction as a theory of sentence processing

Frazier, L.
Journal of Psycholinguistic Research, 1995, 24, 437-468.


制約充足モデル(constraint satisfaction model)に関するさまざまな問題点について議論した.モデルを支持する実証的証拠が縦型探索モデル(depth-first model:一度に単一の分析を行なうモデル)の予測から分岐したモデルの予測に関係がないことが論じられた.いくつかの方法論的な問題点も記した.文処理の理論として,制約充足モデルは不適切である.このモデルは局所構造(local structure),全体構造(global structure),不連続な依存関係を含む構造,長距離依存性(long-distance dependencies),付加部(adjunct)の説明に失敗している.統語分析の開始時間についても,このモデルは誤まった予測を行なっている.さらに,統語構造は単語の語彙見出し(lexical entry)に保持された統語的写像の活性化を通じてのみ利用可能になるので,語彙と統語構造が独立していることを明示した多数の心理言語学的な知見(事象関連電位の研究,code-switching,統語的プライミング,など)をほとんど説明しない.最後にこのモデルは,(語彙の出現)頻度換算や被験者の文評定と同一の文に対する処理時間データの間の相関関係による報告に対して限定的または説明的ではない.


depth-first model=縦型探索モデル
“adjunct phrase(=句)”という用語はあまりみない:“adjunct”のみで付加部
projection=写像(=mapping),投影,投射(GB理論)