Verbal working memory and sentence comprehension

Caplan, D. & Waters, G. S.
Behavioral and Brain Sciences, 1999, 22, 77-126.


この論文では,文理解に利用される言語性作動記憶機能について議論する.我々は作動記憶の概念について,ある課題を達成するために少量の情報を同時に貯蔵・操作する短期間のシステムとして概観した.我々は 文理解における統語処理にはそのような貯蔵・計算システムが必要であることの論点について要約した.そして我々は,統語処理に活用される作動記憶システムが,言語を媒介とした課題に利用される,意識下の制御過程を含むものと同じであるかについて疑問を呈した.さまざまな情報源からの証拠が提示された:作動記憶の個人差と統語処理の効率の個人差との関連性;統語処理における言語性の同時記憶負荷の効果;短期記憶の障害,作動記憶の障害,および失語症の患者における統語処理.健常被験者およびさまざまな脳領域の損傷患者による実験結果からは,他の機能を達成するための文意の利用を内包する作動記憶システムとは分離した,文の統語構造の割り当てと,文意を決定する際に構造を利用するための言語性作動記憶の機能特化がある,という結論に収束した.我々は作動記憶システムの分離の理論と,その神経基盤に関する示唆を提示した.