Event-related potential correlates of individual differences in working memory capacity

Nittono, H., Nageishi, Y., Nakajima, Y., & Ullsperger, P.
Psychophysiology, 1999, 36, 745-754.


作動記憶容量には個人ごとの差異があることが示唆され,その個人差は広範な認知課題のパフォーマンスに影響する.本研究では,事象関連電位によって,作動記憶容量の個人差による電気生理学的な相関について検討した.34名の健常な大学生被験者が,2または5(種類の数字)選択反応時間(two- and five-choice reaction time)課題を遂行した.2選択反応時間(2CRT)課題では,2つの数字(3と7)がそれぞれ .20と .80の出現頻度で視覚提示された.5選択反応時間(5CRT)課題では,5つの数字が同じ出現頻度でランダムに提示された.被験者はそれぞれの数字について異なる指で対応するボタン押しを行うことが要求された.各被験者の作動記憶容量はDaneman & Carpenter(1980)のリーディングスパンテストによって測定された.高スパン群被験者は,5CRT課題において低スパン群被験者よりも大きなP300の振幅が発生したが,2CRT課題においてはその差は有意ではなかった.作動記憶容量の個人差は,刺激提示後300ms付近における情報処理の初期段階に影響を及ぼすことが示唆された.