Working memory capacity and its relation to general intelligence

Conway, A. R. A., Kane, M. J. & Engle, R. W.
Trends in Cognitive Sciences, 2003, 7, 547-552.


作動記憶容量(working memory capacity)と類推能力に関する初期の調査では,作動記憶容量はスピアマンのg因子(注:知能の2因子説における一般的知能を表す成分)の基盤となることが示唆された.だが近年の研究では,作動記憶課題に含まれる基本的なプロセスについての詳細が露呈し,課題開発へのより本質的なアプローチをもたらすこととなった.結果として,作動記憶容量とg因子との関連性についての主張は,現段階ではより懐疑的なものといえる.近年の研究を概観すると,作動記憶容量とg因子はたしかに高い相関が認められるものの,一致するものではないと考えられる.さらに作動記憶スパン課題には,干渉に抵抗するための実行−制御機能(executive-control mechanism)が関与し,この能力は前頭前野(prefrontal cortex)によって媒介されるものである.作動記憶容量−g因子間の関係における基盤をより理解するためには,実験的であり,なおかつそれぞれ異なる研究の組み合わせがさらに求められる.