Verbal working memory and on-line syntactic processing: Evidence from self-paced listening

Waters, G., & Caplan, D.
The Quarterly Journal of Experimental Psychology A, 2004, 57, 129-163.


2つの実験から,標準的な作動記憶課題の成績とオンラインによる統語構造の形成との関係性について調べられた.実験1では,Daneman and Carpenter (1980)によるリーディングスパンテストによって100名の大学生の作動記憶が測定され,さらに4種類の文タイプからなるセルフペーストリスニング課題を使用して,オンラインによる統語処理が査定された.実験2では,48名の大学生が2種類のリーディングスパンテストとさらに他の2種類の言語性作動記憶課題によって作動記憶が測定され,文の種類を追加したセルフペーストリスニング課題を使用して,オンラインによる統語処理が査定された.どちらの実験でも,作動記憶容量と,オンラインによる統語構造の形成と考えられる処理時間の増大に,統語的により複雑な文と単純な文のどちらからも関連性は認められなかった.結果から,標準的な作動記憶課題によって測定された作動記憶システムの機能は,オンラインの統語処理を決定するものでないことが示唆された.統語処理に用いられる作動記憶システムは,少なくとも伝統的な作動記憶容量の検査によって測定されたシステムとは部分的に分離したものである,という知見とそれらの結果は一致するものである.