大学に出かけて,友人と夕食(やや不満足な味のラーメン)を一緒にとりひとり学校に帰り,さて作業するか?というときのこと。隣りの研究室でオーバードクターになったゴートさん(仮名)が私の作業室にひょっこりやって来た。



「どもぉ,遊びにきました。」



最近私が夜中に作業するようになって,同じ時間帯に学校にいることが多くなったこともあって,学校で作業を続けるにはちょっと遅い時間帯(PM10:00くらい)にゴートさんフラリとやってくるようになった。ここ数年かけて,私達の研究室界隈に所属する学生がどんどん減少してきたから,夜なんとなく無駄話を出来る人が少ない,というのも大きな理由なんだろうな,と漠然と考えてた。

でも,どうやら理由は他にあったらしい。



「なんかもう若い連中と話してるより,同じくらいのオッサンら(笑)と居る方が落ち着くんですよね。」



以前にも書いたと思うけれど,およそ私とゴートさんは正反対の人生を送ってきた人だと思う。私立大でスキーを趣味に年末年始にペンションのアルバイトをしながら,ごくまっとうなやり方で勉強をして自分の生活に何も疑問を抱かないで−と私にはみえる−生きてきた,簡単な言葉で言ってしまえば“前向きな人生を送ってきた人”だと思う。多分高校時代に近くにいても,会話自体成立しなそうな人だ。

それでもこの時期になると共有できることが増えてくる。

後戻りも方向転換もできないけれど,前進することもままならない日常。時間が経つことに対する漠然とした不安。そういうのは他の誰でもない同世代の人としか分かり合えなくて,でも正面きって「不安なんだ」とは言えなくて,くだらない冗談を混ぜることでしか表に出すことの出来ない感情。

うん,そんなことだ。





就職の話などをひとしきりして,「なんだかねー」と二人口をそろえて言っていると,隣りの部屋から「ゴートさん,さっきっから携帯鳴りっぱなしですよ?あとこっち(研究室)の電話に太地さん(仮名)から電話入りました。多分携帯も一緒と思われ。」と連絡入り,「やっべー!」と言いながら出て行った数分後,私のところにやってきて「怒られちゃったんで帰りまーす。」と“えへへ”って顔をしながら帰って行きました。

なんとなく辛気臭いハナシを一緒にしてるよりは,身近なひとの“バカップルえへへ”な顔を見てるほうがまぁいいのかな,などと思いながら今日も夜中にダラダラ作業する週末なのでした。